株式投資における財務分析をMBA取得のFPが解説~その他
MBA・FPオフィスALIVE代表國弘泰治です。
オフショア投資2個に続きましたが、今回は株式投資における財務分析の損益計算書編ラストに移ります。
今までの復習
今までは、損益計算書の科目について説明を始めしましたが、その中で売り上げの科目に着目したものがほとんどでした。そこで出てきたのが成長性や収益性といった売上に着目した分析方法について説明をしました。
そこで今回は売上に着目した分析でその他の分析方法をまとめて紹介します。
売上に着目したその他の分析方法
さきほどお話したように、今から売上高に着目したその他の分析方法について解説していきます。内容としては①売上高販管比率②売上高営業利益率③売上高経常利益率④売上高当期利益率です。
売上高販管費率
販売費を売上高で割って算出される指標で、販管費は損益計算書の科目になるると販売費および一般管理費のことを言います。
販管費は商品を販売するためにかかる費用や会社全般の管理業務に伴って生じる費用です。
一言で言うと販売や営業に関する費用となります。
売上営業利益率
営業利益を売上高で割った比率のことで、短く言うと営業利益率で、更に短く言うとOPM(OperationProfitMargin)です。実際は営業利益率かOPMのどちらかで呼ばれるのが多いと言われています。考え方としては売上営業利益率が高いほど商品・製品・サービスの収益率も高いといわれ、販売活動や管理活動が効率的に行われています。
売上高経常利益率
経常利益を売上高で割る計算方法で、経常利益は「財務活動を含めた経済活動全体」の利益と言われ、本業以外にも副業で行っているものも入っています。売上高経常利益率は企業経営全体の実力を測ることが可能です。
売上高当期利益率
当期純利益を売上高で割った計算方法で、当期純利益は株主以外のすべての利害関係者に分配されたものを除いた利益のことを指し、株主に帰属する利益を言います。このように考えると、経費部分である売上高販管費率は低いほど経営効率は高いと居ますが、売上高営業利益率や売上高経常利益率そして売上高当期純利益に関しては、高ければ高いほど良いと言われています。その他の分析方法に関しては、①~④まで説明をしましたが、経費部分の当たる売上高販管費率は低い方がよく、②~④に関しては高いほど良いと言われています。その中で売上高当期利益率と売上高経常利益率はどちらが株式投資の指標としてみるべきものとして売上高経常利益率が参考になります。
次に、損益計算書に直接載っていない利益について解説していきます。
損益計算書に載っていない利益
損益計算書に直接掲載されていないものについて2つ紹介いたします。まず損益計算書に載っていないものとして①事業利益②EBTDAの2つになります。
事業利益
本業と財務活動を含めた経営活動全体の利益のことで、経常利益と営業利益の間にある利益を示します。計算方法として営業利益+受取利息+配当利益+持分法による投資利益で求められます。ただ有価証券売却益を含めないのが一般的です。
EBTDA
日本語訳すると利払い前・税引き前・減価償却前利益と言われており、計算方法は営業利益+減価償却費になります。
「横文字だらけでしんどい」と思われる人もいるかと思いますが、入門段階だという方でしたら損益計算書の段階では一回パスしてもいいかもしれません。
主にキャッシュフロー計算書のところでお伝えします。
損益計算書に出てこない項目について述べてきましたが、EBTDAに関してはキャッシュフロー計算書のところでやっていくので、財務・経理の仕事がまだ初めてという方やただ知りたい方だけでも良いかもしれません。
最後に固定費・変動費の分析に移ります。
固定費・変動費の分析
最後に固定費・変動費の分析に移ります。そこで固定費・変動費の分析はこの2つを把握することで利益構造を把握することが可能です。
次に利益の変動と固定費・変動費分析で使うものについて説明していきます。
固定費・変動費の分析でわかることと計算式
まず最初に利益変動の要因として、①価格効果②数量効果③変動費効果④固定費効果となっており、損益計算書では売上⁻費用となっていますが、売り上げは①と②で、費用は③と④で分けられます。
売上-費用をさらに分解すると、(数量×単価)-(変動費+固定費)となります。
変動費と固定費を解説すると売上の増減に比例して増減する費用のことで、固定費は売り上げが増減関係なく一定のかかる費用を言います。
主に人件費や家賃、減価償却費、研究開発費が挙げられます。
それでは4つの効果について説明していきます。
価格効果は販売数量と費用が同じである場合、単価が変動した場合に生じる影響で、数量効果は販売単価と費用が同じで販売数量が伸びた場合のことを言います。
ここまで説明をしましたが、数量効果は価格効果と異なり、変動費が上昇した結果売り上げの変動幅の増減よりも小さい利益の増減となっているのが特徴と言えます。
そこで数量効果で使える式については限界利益率というものです。
今から説明していきます。
限界利益率とは??
さきほどは固定費・変動費分析について説明をしていきましたが、その中で数量効果について説明をしました。
そこで数量効果の計算で使えるのが限界利益率が使えるということですので、限界利益率の計算について説明していきます。
限界利益率は売上と変動費を差し引いたものを売上で割るという計算方法で、計算式にすると以下のようになります。
(売上-変動費)÷売上
例えば、800円のラーメン1日50杯を317日売れたとしましょう。
そのラーメンの売上が1268万円でした。仮に変動費が40%だった場合、変動費は売上の40%と費用になりますので変動費は507.2万円となります。
(1268万円-507.2万円)÷1268万円となるので、限界利益率は60%となります。
このようになりますが、ラーメンを作る卵代やチャーシューや麺代があがれば変動費率はあがるので、変動費が上がれば利益を圧迫するようになります。
次に固定費について説明していきます。
固定費効果とは?
固定費効果は固定費の増減による利益への影響を言います。
例えば、人件費が上がることやアルバイトを採用するとなれば給料も支払わないといけませんし、頑張りが認めることになったら、昇給といったことが必要となります。そのため固定費は経営の意思決定に絡むものとなります。
以上で固定費効果について説明をしましたが、固定費・変動費を考えることが重要となってきます。これらを理解していけば損益分岐点売上高を計算していくこととなります。
それでは損益計算書売上高について説明していきます。
損益分岐点売上高とは??
損益分岐点を計算して、現在の売上高を比較することは安全性分析のでは重要と言われています。
ただ上場企業で開示されている財務データだけであれば、損益分岐点を導くのが難しいといえます。
損益分岐点売上高に関しては、株式投資だけでなく副業で起業やネットワークビジネスを考えている人にとってはこの辺は考えた方が良いでしょう。
それでは損益分岐点の計算方法について説明します。
損益分岐点売上高は固定費÷(1-(変動費÷売上高))になり、1-(変動費÷売上高)の部分は限界利益率の部分になりますので、先ほどのラーメン屋さんの例題ででた限界利益率60%を活用します。
固定費に関しては、アルバイト昼バイトと夜バイト1人ずつで8時から16時の8時間で1日5600円と夜時間16時から24時まで働いて1日6300円を269日働いたとしましょう。
昼バイトの場合150.64万円で夜バイトが169.47万円になりますので、昼夜のバイト人件費は320.11万円となり、後電気ガス代などは1年間で150万円かかって470.11万円としましょう。
470.11÷限界利益率60%(0.6)なので、783.5166万円になります。
損益分岐点売上高は、固定費がどのくらい必要なのかで、変わってきます。
それでは、損益計算書編が終わりましたが、ここまででも学ぶ点は結構多いかと思います。株式投資や副業で起業等するのであれば、損益分岐点は重要と言えます。
最後に、MBA取得と書いているように、貸借対照表や損益計算書そしてキャッシュフロー計算書の領域の執筆や監修も対応しておりますので、企業の会計やファイナンスのメディアを運営されている企業様等いらっしゃいましたらalive.kunihiro@gmail.comまでご連絡ください。よろしくお願いいたします。
監修の実績に関しては、実績を掲載しております。
監修記事:粗利率とは|計算方法と意味・重要性・他の利益との違いをわかりやすく解説
https://entrecollege.com/grossprofitmargin/
これからどんどん増やしていくのでよろしくお願いします。
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