証券担保ローンとは?中小企業が株を売らずに資金調達する方法と注意点を解説
1. はじめに:資金調達の新選択肢、証券担保ローンとは?
「株を売らずに資金を確保できたら…」そんなふうに思ったことはありませんか? 最近、資金調達の方法として注目されているのが、証券担保ローンです。
これは、保有している株式や債券などを担保にして、現金を借り入れる仕組みです。
この方法のメリットは、資産を売却せずに運用益を維持しながら、資金調達ができる点にあります。つまり、「持っている資産を活かす」という選択が可能になります。
特におすすめなのが、株式などの金融資産を保有している中小企業経営者の方です。
今回は、証券担保ローンの基本からメリット・注意点、そして活用事例まで、わかりやすくご紹介いたします。
2. 証券担保ローンの仕組みとは?資産を担保にした資金調達の流れ
証券担保ローンは、金融機関が投資家や企業の保有する有価証券を担保として設定し、それに見合う融資を行う制度です。
まずは、証券担保ローンの基本的な流れや担保対象となる金融資産、担保評価と融資額の関係について確認していきましょう。
■ 基本的な流れ
- 担保とする有価証券の選定(例:上場株式)
- 金融機関による評価
- 担保契約の締結
- 融資の実行
事前に、どの金融機関で証券担保ローンを組むかを選定し、申込書に借入額や有価証券情報などを記入します。
必要書類を提出し、審査を経て、担保契約を結んだ上で資金が実行されます。
次に担保となる金融資産について説明していきます。
■ 担保対象となる金融資産
担保対象となる金融資産は以下の通りです。
- 上場株式
- 公社債
- 投資信託
※非上場株式は担保不可のケースが多いため注意が必要です。
最近では一部で仮想通貨を担保とする証券担保ローンも登場していますが、時価総額トップ20に該当する仮想通貨に限定される傾向があります。
■ 担保評価と融資額
評価額の50〜80%程度が融資限度となるのが一般的です。
担保評価は株式の種類や市場流動性に応じて変動します。
例として、トヨタやソフトバンクなどの銘柄は評価が高くなりやすいです。
■ 金利や返済条件
- 金利:年1〜3%程度(変動あり)
- 返済期間:半年〜5年程度
- 手数料:契約時に数万円程度かかることも
金利や返済条件については、1%~3%程となっていますが、金融機関によっては下限金利が1.5%、上限金利が4%程です。
返済期間については半年から5年程度が相場ですが、返済期間については自由です。
次は証券担保ローンのメリットとデメリットについて解説していきます。
■ メリットとデメリット
ここでは証券担保ローンのメリットとデメリットについて軽く説明していきます。
【メリット】
株式を売却せずに現金化できる
スピーディーな資金調達が可能
【デメリット】
株価が下落すると追加担保が必要になる可能性あり
メリットとデメリットについて説明をしましたが、株式を売却せずに現金化でき、スピーディーな資金調達が可能です。 デメリットについては、株価が下落すると追加担保が必要となるケースもあります。
スピーディーに調達出来る点については金融機関によって異なりますが、1週間程度〜1ヵ月が目安です。
次にメリットについて更に深堀していきます。
3.証券担保ローンのメリット5選|株式を売却せずに資金調達できる理由
中小企業経営者にとって、事業の成長に資金は不可欠です。
しかし、株式を売ってしまうと税金がかかってしまうことや将来の資産成長の機会を逃してしまいます。
証券担保ローンなら、こんなメリットがあります。
■ 株式売却による課税を回避
株式を売ると譲渡益に課税されますが、担保にするだけなら非課税です。
■ 迅速な資金調達
審査が早く、最短即日で実行されるケースもあります。
■ 成長機会を逃さない
新事業や投資チャンスに素早く対応可能です。
■ 金融機関との信頼構築
資産背景を示すことで、他の融資への良い影響も期待できます。
先ほどメリットについて軽く触れましたが、株式売却をした場合は個人であれば申告分離課税の譲渡所得、企業であれば法人税、法人事業税、法人地方税等が掛かってきますが、証券担保ローンの場合、資金を借り入れるということなので税金が掛かりません。
メリットについても深堀しましたので、デメリットについても深堀していきます。
4. 証券担保ローンのデメリットと注意点|リスクと対策を事前にチェック
先ほどはメリットについて解説をしました。
とはいえ、証券担保ローンにはデメリットや注意点もあります。
今からしっかり把握しておきましょう。
■ 株価変動リスク
担保株式の株価が下落すると、追加担保を求められることもあります。
■ 一括返済のリスク
担保評価が急落した場合、期限前に返済を求められる可能性もあります。
■ 金利変動のリスク
変動金利が採用される場合、返済額が増える可能性もあります。
■ 手続きコスト
担保設定に伴う契約書類や登記費用が発生することもあります。
ここまで説明しましたが、株式投資ならではのリスクと資金を借り入れる上でのリスクの両方あることや手続きについても金融機関のフリーローンと違い、収入証明書や本人確認書類と別に担保になる有価証券に関する書類や資金使途が確認できる書類の記入があることや登記費用といった経費が掛かってきます。
証券担保ローンを選ぶ際は、手続きのコストや担保にする株式がどのくらいの評価額になるのか、金利は固定なのか変動なのかそしてどのくらいの金利になるのか確認することも重要ですので検討している金融機関に問合せすると良いでしょう。
次に証券担保ローンを活用のポイントについて説明していきましょう。
5. 証券担保ローン活用のポイント|中小企業が失敗しないための4つのコツ
証券担保ローン活用のポイントを押さえれば、中小企業でも安全かつ効率的に資金調達が可能です。 失敗を防ぐための4つの重要なコツを解説します。
■ 担保とする資産の選定
流動性が高く、価値が安定している銘柄が理想です。
■ 金融機関の比較
融資条件は金融機関ごとに異なるので、複数の提案を取り寄せましょう。
■ 返済計画の策定
月々のキャッシュフローに無理のない返済計画を立てることが大切です。
■ 専門家への相談
ファイナンシャルアドバイザーや税理士などの意見も取り入れると安心です。
失敗を防ぐのであれば、この4つを考えることで証券担保ローンの成功と失敗が分かれてくると言っても過言ではありません。
担保とする資産の評価額についても金融機関によって違ってきますし、ローンであるため借金をすることになります。
借り入れをスムーズにするためには、金融機関について調べることや返済計画を立てること、携帯電話や電気料金などの支払いを忘れないことを心掛ける必要があります。
返済を怠ると督促状が届いてしまい、期日に間に合わない場合は担保となる有価証券を処分することとなります。
借り入れる前であればファイナンシャルアドバイザーや税理士やFPといった専門家への相談も有効です。
6. 証券担保ローンの活用事例:新事業展開、設備投資など
実際にどのような場面で証券担保ローンが使われているのか、いくつかの事例をご紹介します。
■ 製造業:設備投資に活用
新しい生産設備を導入するために短期間で1,000万円を調達しました。
■ IT業:新規サービス開発資金に
開発資金として500万円を確保し、株式を売却せずに済んだため、将来の成長を見据えた運用が可能になりました。
■ その他:運転資金として
証券担保ローンの活用事例を見たところ、使用目的は自由であるため設備投資や新規サービス、中小企業の運転資金といった事例を聞きます。
事例にはありませんが、不動産投資の頭金として借り入れるケースもございます。
証券担保ローンを活用して不動産投資の頭金を調達する場合は低金利で資金調達できることやレバレッジを活用して投資でき、頭金を返済すれば株式を残しながら投資用不動産を残すことも可能で、株式を担保にして投資する場合は株式から不動産に換えることで攻めから守りへの資産形成を可能にします。
次は証券担保ローンに関するQ&Aについて触れていきます。
7. 証券担保ローンに関するQ&A:よくある質問と回答
次は証券担保ローンに関するQ&Aについて答えていきます。
Q. どのような企業が利用できますか?
A. 株式などの金融資産を保有している中小企業、個人事業主が主な対象です。
Q. 融資までの期間はどれくらいですか?
A. 早ければ数日以内、平均で1〜2週間程度で実行されるケースが多いです。
Q. 担保にする株の種類に制限はありますか?
A. 原則として上場株式が対象です。非上場株式や流動性の低い銘柄は対象外です。
証券担保ローンは事例でも説明したように設備資金や新規事業のための資金、企業の運転資金などが多いことから担保にできる上場株式などを持っている中小企業や個人事業主が主な対象です。
ただ金融機関によっては早い場合であれば数日で借りることもできますが、平均的に1週間から2週間程度かかるのではないでしょうか。
8. まとめ:証券担保ローンを賢く活用し、事業成長を加速させよう
証券担保ローンは、資産を手放さずにスピーディーな資金調達ができる、新しい時代の資金調達戦略です。
メリットとリスクを理解したうえで、賢く使えば、事業拡大や新たなチャレンジの強い味方になります。
これまで株式を売却して資金を得ていた方も、一度検討してみる価値は大いにあります。 資金繰りでお悩みの中小企業経営者の方は、ぜひ一度、証券担保ローンという選択肢を視野に入れてみてください。
MBA・FPオフィスALIVEは中小企業や個人事業主の資金調達についても相談が可能です。
その他にも社外CFO事業も行っていることや目的に応じて親和性のある相談もしています。
株式や債券がない場合、証券担保ローン以外にもファクタリングや融資コンサルタント、そして補助金に強い中小企業診断士を紹介することも可能ですので、一度相談するのも資金調達成功への近道になるかもしれません。
お問い合わせ先は以下のボタンをクリックしてお問合せページに移ることが可能です。
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