株式投資における財務分析をMBA取得のFPが解説~損益計算書後編
MBA・FPオフィスALIVE代表國弘泰治です。
今回は前編中編のおさらいと株式投資のおける財務分析の後編について解説していければと思います。
前編・中編の復習と後編でお話しする内容
前編・中編では損益計算書の仕組みや売上高の前年成長率そして売上高の詳細分析について説明しました。
前編中編までは成長性に着目をしていましたが、後編からは収益性について解説していきます。
一般的に収益性の分析には損益計算書のみでも可能な「売上高収益性の分析」と貸借対照表と併せて行う「資本収益性の分析」の2種類がございます。
まずさいしょに売上高収益性の分析から説明していきます。
売上高収益性の分析とは??
売上高収益性の分析は「売上に対してどれだけの収益を生み出せるのか?」を分析することで、簡単に言うと利益を獲得する能力がどれだけあるのかということです。
損益計算書には売上と費用そして売り上げと費用を差し引いた利益の3点ございます。
顧客から生み出された成果においては企業に残る大きな儲けがどれだけあるのかを見ることができます。
これらを求めるとなれば、売上高売上総利益率というものがあり、売上総利益を売上高で割ることで求めることが可能です。
売上総利益は売上高から売上原価を差し引いて求めることが可能になります。
もっと式を分解していくと(売上高-売上原価)÷売上高となります。
売上原価は売上を上げるために行った事業活動のうち商品や製品・サービスに直接対応する費用のことを言います。
すなわち商品を仕入れるためにかかった費用で仕入れ原価のことをいいます。
例題を挙げると、ドラッグストアに売っている発泡酒を考えてみて下さい。
100円で仕入れて150円で発泡酒を販売したとしましょう。
仕入れ原価は100円で150円の売上高となります。
例売上高から仕入れ原価を差し引くと50円の売上総利益が正解です。
このように考えると売上総利益率は提供する商品や製品そしてサービスの競争力を示しています。
後売上総利益率が高ければ高いほど良いと判断ができます。
ただ高いことに越したことはないのですが、ビジネスモデルによっては低くてもいい場合もございます。
例を挙げると利幅の低い商品を大量に売る戦略を取っているディスカウントショップなどは売上が相対的に低くなっています。
ディスカウントストアといったビジネスモデルは販管費でコストを抑えていることから売上総利益率が低くても問題とするべきではないといえます。
次に小売業界の粗利率について説明していきます。
小売業・卸売業が言う粗利率とは??
売上総利益は粗利とも呼ばれており、売上総利益率は粗利率もしくは粗利益率とも呼ばれています。
小売業界や卸売業界の場合、仕入れ値に対して何割の利益を乗せて販売したかのことを粗利率と言っている可能性がございます。
財務分析上では粗利率というと仕入れ値でなく販売代金である売上高に対する率のことを言っており、仕入れ値に対して何割の利益を乗せて販売したかのことは掛値率と言われています。
掛値率は売上総利益を仕入れ原価で割った計算式で、したがって売上総利益率は掛値率を(1+掛値率)で割ったものとなります。
ここまで収益性について述べてきましたが、財務分析上の粗利率と小売業や卸売業がいう粗利率は違ってきます。
これから株式投資でドラッグストアであればすぎホールディングスやコスモス薬品などといった小売業や卸売業への投資を考えているのであれば、この点は注意しておくと良いかもしれません。
後編はここまでにしますが、損益計算書に関してはその他にも分析について述べたい部分もございます。
次回は、損益計算書を使うその他の財務分析というタイトルで説明していきます。
またわからないことがございましたら、alive.kunihiro@gmail.comまでお願いいたします。
わからないことだけでなく、資産運用の相談やコンサルティングなども対応しております。
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